ランチョンセミナー 8月25日(土)
※8月26日(日)のランチョンセミナーのご案内はここをクリック
生後2ヶ月のワクチンデビューに向けて〜ロタウイルスワクチンを含め〜 ( クリニックスタッフが果たす役割 )
今回のセミナーでは、小児の重症下痢症の原因として最も頻度が高く、時にはけいれん・脳炎・脳症などの重篤な合併症も引き起こすロタウイルスの病態と、昨年開始されたロタウイルスワクチンの必要性・有効性・安全性をまずお話しいただきます。さらに、種々のワクチンの早期開始、すなわち「ワクチンデビューは生後2ヶ月の誕生日」をいかに実現させるかというお話につなげていきますが、そのためには、受付業務や電話対応をするクリニックスタッフの皆さんにも積極的に関わっていただくことが必要不可欠です。
太田先生には特にスタッフの果たす役割についても、豊富なご経験をもとにお話いただく予定です。
小児科でHPVワクチンを射つことの意味
現在、国内の20〜30歳代の女性における子宮頸がんの罹患率・死亡率が年々増加しております。その子宮頸がんを予防するHPVワクチンへの公費助成の期間延長も決定され、その重要性が認知されるようになりました。我が子に接種させたいという親御さんが増えてくる中で、HPVワクチン接種に対して小児科医が担う役割というものが非常に大きくなってきていると思われます。本セミナーでは、そもそもHPV(ヒトパピローマウイルス)はどういった疾患を引き起こすのか、HPVワクチンとはどのようなワクチンなのか、接種する上で気をつけなければいけないことは何か、など、明日からの臨床においてお役立ていただける話題をご講演いただく予定でございます。
最適なワクチン接種スケジュールを立てるために
地域における疫学情報の把握と活用の必要性
感染症予防のためのワクチン接種スケジュールの策定にあたり、予防すべき感染症の流行状況、季節性、発症好発年齢などを考慮することは大切である。ワクチン導入と普及によりその状況は変化するので、経時的な観察に基づく対応も求められる。各地域での疫学データを把握することは、ワクチン導入効果を接種者自身が実感することを可能とし、ワクチン接種に対するモチベーションの向上につながる。また、疫学情報を接種医療機関のスタッフが共有し、被接種者に正確に伝え共に接種スケジュールを立てていくことは、被接種者のワクチン接種に対する動機づけとなる。本講演では、主なワクチン予防可能疾患の日本での疫学情報を呈示すると共に、どのようにすれば各地域で疫学情報を把握していくことが可能になるのかについて共に考えたい。
発達障害を持つ子の親が医療に求めること〜真の支援とは?〜
発達障害を持つ子供の親が医療に求めることは大きく分けて3つある。1つは発達障害に関する知識提供である。2つ目は診察や薬の処方など医療技術である。そして3つ目が「心」である。そこに温かい心がなければ、どんなに正しい知識や医療技術が提供されても、全く意味・効果を持たない。そのため残念ながら障害の「受容」と「否定」の狭間で揺れ動き「ドクターショッピング」を繰返す親がいるのも現状である。私達親子には命の恩人がいた。息子の最大の味方で、私を励まし悟し、温かい心で支えてくれた主治医である。親から見る特性、親の苦悩、そして子供と親が求める支援とは何か?『真の支援』について述べていきたい。
乳幼児アレルギーの適正マネジメント
【乳幼児アレルギーの特徴】 乳幼児のアレルギーは「アレルギーマーチ」と表され、年齢や環境の変化に応じて複合的に発現する。偏らない全身の幅広い診察が重要となる。
【食物アレルギー】 確診は経口負荷によるが、血清IgE測定など補助診断も応用価値が高い。
【乳幼児アトピー性皮膚炎の特徴】 食物アレルギー合併頻度が高く、親には特有の不安がある。適正なステロイド外用、抗原回避、スキンケアにより、良好なコントロールを維持できる。
【乳幼児喘息のケア】 実際の臨床においてはAsthma Predictive Indexが有用である。説得力ある患者指導が可能となり、アドヒアランス向上を期待できる。目指すは「最低限の治療によるベストコントロール」といえる。
治りにくい起立性調節障害への対応−ガイドラインを使いこなす
日本小児心身医学会から起立性調節障害(OD)診断・治療ガイドラインが発刊されて5年が経過し、プライマリケアにおいて標準的な初期対応が普及しつつあります。現在、本ガイドラインに対する評価や意見が解析されていますが、その中で治りにくいODはどうしたらいいのか、という意見が多く見られました。本セミナーでは、本ガイドラインに掲載されている、診断方法、新しい簡便な起立試験の方法や、治療の流れなどを分かりやすくご紹介頂き、さらには治りにくいODへの対応のコツをご紹介頂くことをお願いしております。先生方の日常診療のお役に立てればと思いますので、是非ご参集下さいますようお願い申し上げます。
1.日常診療で知っておきたい成長障害の診かた 2.放射線被ばくと甲状腺
今回の講演では広島赤十字・原爆病院 西美和先生より「日常診療で知っておきたい成長障害の診かた」のパートにて、 外来小児科の現場において低身長を始めとする成長障害の疑いのある患者さんが来院した際の診断方法、対処の仕方や原因の見極め方について解説いただき、 そのほか成長障害の診断に役立つツールやその活用方法についてご紹介いただきます。 「放射線被ばくと甲状腺」のパートでは昨年の福島原発事故以降、世間で話題となっている放射線被ばくが小児の甲状腺に対する影響について、広島・長崎原爆、チェルノブイリ原発事故後の甲状腺疾患発症も含めて解説いただきます。
不活化ポリオワクチンへの円滑な移行に向けて〜DPT-IPV(四種混合ワクチン)〜
生ポリオワクチン(OPV)は、国内の野生ポリオ排除という大きな功績を果たしましたが、近年、まれに発生する生ワクチン由来の麻痺(VAPP)への不安から接種率が低下し、大きな問題となっています。一方で、海外ではVAPP を引き起こさない不活化ポリオワクチン(IPV)の接種が一般的です。国内でもDPT(ジフテリア・百日咳・破傷風)ワクチンにIPVを混合した四種混合ワクチン(DPT-IPV)が承認申請されており、年内の導入が期待されています。一方、OPVからIPVへの移行にあたり、それぞれの接種歴に応じた適正な接種回数や接種スケジュールなど多くの課題が指摘されており、導入前からこれらの課題に対する理解が必要です。
進化医学から見直すかぜ症候群の診療と子どものケア
ヒトはこの地球上に生きている生物の一員であり、その形や仕組みは長い進化の過程で創られてきました。また他の生物種とさまざまな共生関係を持つことで安定した生態系を築いてきました。当然ながら日々の生活でも、また病気のときもその仕組みや共生関係は働いています。進化医学はこのようなヒトの生物としての側面を理解し、病気の治療や予防に役立てようというものです。本日は進化医学の観点から1.発熱患者の診療、2.発熱患者への水分の与え方、3.乳幼児のスキンケアの3点について、私の診療所で実践していることを述べたみたいと思います。