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一般演題5・抄録/感染症・ワクチン
【5-1】日本小児科医のRSウイルス感染症予防の現状に対する認識とアンメット ニーズに関するWebアンケート調査
*関根 英輝1、小林 真之1、金 英珠1、森岡 一朗2
1. MSD株式会社メディカルアフェアーズ、2. 日本大学医学部 小児科学系小児科学分野
目的: 小児RSV感染症の知見と予防に関する日本の小児科医の認識を調査する。 方法: オンラインパネルに登録された、過去1年間に小児RSV感染症3例以上治療した小児科医に、RSV感染症の知 見と予防の認識に関するWebアンケートを実施した。 結果: 小児科医300名が回答した。細菌・ウイルスを含む小児感染症において、小児科医の60.3%はRSV感染症が 最も頻度が高い、39.3%はRSV感染症が最も重症度が高い、65.3%はRSV感染症の予防が必要と回答した。ワ クチン開発優先度が高いとしたのは88.7%、ハイリスク児での予防の重要性が高いとしたのは96.7%で あった。現在のRSV感染症予防が満足としたのは、リスクのある小児に対しては34.0%、リスクのない小児に 対しては23.7%であった。 結論: RSV感染症予防の重要性を認識する小児科医は多かったが、現状の予防への満足度は低くアンメットニーズ が存在した。
【5-2】RSウイルス感染症が保護者や医療従事者に及ぼす負担に対する小児科医 の認識に関するWebアンケート調査
*関根 英輝1、小林 真之1、金 英珠1、森岡 一朗2
1. MSD株式会社メディカルアフェアーズ、2. 日本大学医学部 小児科学系小児科学分野
目的: RSV感染症罹患児の保護者や医療従事者のRSV感染症疾病負担への日本の小児科医の認識を調査する。 方法: オンラインパネルに登録された、過去1年間に小児RSV感染症3例以上治療した小児科医に、RSV感染症に対 する負担の認識に関するWebアンケートを実施した。 結果: 小児科医(回答300名)の負担の認識は、小児がRSVに感染した場合、保護者の心理的負担が大きい 68.7%、身体的負担が大きい76.3%、医療従事者ではそれぞれ46.3%、55.0%であった。負担が大きいと考え る主な項目は、保護者では生後数ヵ月以内の乳児罹患(22.0%)や自宅看護時の不安(21.0%)、夜間睡眠へ の影響(11.3%)、乳児罹患による身体的負担(5.3%)、医療従事者では患者の急な増悪への不安 (46.7%)、RSV流行期の労働負荷(20.0%)であった。 結論: 小児科医が認識する保護者や医療従事者の負担は大きかった。
【5-3】小児における新型コロナウイルス再感染例の検討
*村瀬 真紀1
1. むらせ赤ちゃんこどもクリニック
[目的] 小児新型コロナウイルス感染症(COVID)再感染について検討する。 [対象] 対象は2022年 1月~2023年2月に当院に受診した20歳未満の児で、COVIDと診断された693例/682人(2回陽性 11人)。2回感染経験児は19人(2.8%)であった。 [結果] 1)2回感染児の年齢3か月~14歳(中央値 8.2歳)、1回目と2回目の感染間隔は78~342日(中央値213日)であった。2)19人を9歳未満(n=11)と 9歳以上(n=8)の2群に分けると、感染間隔は前者が中央値175日、後者が中央値306日で年齢の低い群が有意 に短かった(p=0.032)。3)1回目感染児676人を2回感染児13人と1回のみ感染児663人の2群に分けると、前 者は後者に較べて、母(p=0.021)、父(p=0.006)のワクチン接種回数が有意に少なかった。 [考案] 当院では COVID再感染率は3%程度で、再感染時期は最短2か月半、低年齢ほど再感染間隔は短い傾向がみられた。周囲 の環境因子は、小児の反復感染に影響を及ぼす可能性がある。
【5-4】同時流行期における新型コロナウイルス感染症、季節性インフルエンザの 臨床像の相違
*村瀬 真紀1
1. むらせ赤ちゃんこどもクリニック
[目的] 新型コロナウイルス感染症(COVID)と季節性インフルエンザ感染症(Flu)の臨床像の相違を検討す る。 [対象と方法] 2023年1/2月にCOVIDまたはFluと診断された274人で、COVID群174人、Flu群100人の 患者背景、臨床症状を比較検討した。 [結果] 1)年齢には差がなかったが、COVID濃厚接触有りはCOVID群 50%、Flu群6%で前者が有意に高率であった。2)最高体温中央値はFlu群39.1℃、COVID群38.9℃で前者が 有意に高値であった。3)咳嗽はFlu群75%、COVID群49%で前者に有意に高率に認め、嘔吐はFlu群 6%、COVID群16%と逆に後者に有意に高率であった。4)対象274例における多変量解析によると、Fluの独 立した危険因子は最高体温高値と咳嗽であり、COVIDのそれは濃厚接触歴と嘔吐であった。 [結語] COVIDの 危険因子は濃厚接触歴と嘔吐であり、Fluの危険因子は高熱と咳嗽であった。
【5-5】ワクチン出荷制限によるワクチン接種率に関する評価
*水野 泰昭1、石倉 健司2、櫻井 司3、大﨑 侑佳1、進藤 淳也1、西田 光宏1、上牧 務1
1. 静岡市立清水病院小児科、2. 北里大学医学部小児科学、3. 静岡市立清水病院
ワクチンの普及は、ワクチン接種率に反映されると考えられ、対象疾患の発症率を軽減させる。ワクチン接 種率はワクチン供給不足の影響を受けると考えられるが、本邦での実態は不明である。本邦におい て、2021年4 月から10月において、おたふくかぜワクチンが製造過程の不具合により出荷制限であり、ワク チン供給不足に繋がった。また同様に、日本脳炎ワクチンは2021年1月から12月まで出荷制限された。不測の 事態により再度ワクチン供給不足に陥った場合、ワクチン接種率の変化を事前に把握することが望まれる。ワ クチン出荷制限によって単施設のおたふくかぜワクチン、日本脳炎ワクチンの接種率がどのように変化したの か、その影響について検討した。
【5-6】2022-23年度の経鼻生インフルエンザワクチン「フルミスト」の有効性 は不活化ワクチンと同等であった
*佐野 正1
1. キッズクリニックさの
【目的】経鼻生インフルエンザ生ワクチン(「LAIV」と略)は、来年度より供給が可能となるが、今まで個 人輸入に頼ってきた。当院は2015年度よりLAIVの効果を報告してきたが、本年の結果を中心に過去データも 併せて報告する。 【方法】当院にて2-20歳児を対象にLAIV1回接種した全例について、インフルエンザの罹患状況を確認した (コホート調査)。対照には同年齢の不活化ワクチン(「IIV」と略)接種児(基本2回接種)と未接種児を用い た。罹患児は迅速検査陽性例のみとした。 【結果】2022-23年の検出株は全てA型で、LAIV1回後の罹患率は 6.3%(25/398)と、IIV接種後の罹患率 6.4%(32/502)と同等であった。一方、未接種群の罹患率は11.4%(32/280)で、ワクチン有効率はLAIV群 45.0%、IIV群44.2%と算出された。2群間に差はなかった。年齢別検討でも、年少児群と年長児群で差は認め なかった。
【5-7】水痘ワクチン接種スケジュールの再検討に向けて
*伊藤 舞美1、橋本 政樹1
1. はしもと小児科
水痘ワクチンは、2014年10月にそれまでの任意1回接種から、定期2回接種となった。その後、水痘患者数 は減少に転じたが、毎年一定数は確認できた。そこで、当院での水痘患者数とその年齢を診療録より調査集計
した。また、2022年に関しては、より詳細に、診断方法、ワクチン接種歴、重症度スコア、推測される感染 経路の項目も加えた。その結果、2014年には、平均年齢3.7歳(中央値4歳)だったのが、2021年には、平均
年齢7.2歳(中央値6歳)と、罹患年齢が上がっていた。加えて、水痘患者の多くが、水痘ワクチン接種歴があ り、就学前の子どもの罹患数が増えていることが分かった。現在の本邦での水痘ワクチン接種スケジュール
は、2回目の接種が1回目から6か月後となっている。海外での多くの国と地域が行っているように、2回目の 接種を就学前と変更する時期に来ていると考える。本データが、スケジュール再考の一助となれば幸いである。