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抄録のご紹介ページ(一般演題)

一般演題3・抄録/健診で見えてきたこどもたちの問題点


【3-1】演者都合により演題取り下げ

【3-2】中野区立小学校での運動指導の報告
千葉 智子1、*井浦 大知1
1. 上高田ちば整形外科・小児科

 近年、子どもを取り巻く環境の変化によって起こっていると言われる「子どもの体力低下」が問題となって いる。当院でも、子どもの姿勢や歩き方が気になる、転びやすい、首や腰が痛い等の相談件数が増えている。 中野区立小学校の校医をしている当院医師からも全校検診、運動器検診で姿勢やバランスが悪い子どもが多い と話があり、小学校の協力を得て、5年生の体育の授業時間を2時間使い、「運動指導」として体軸体操を行う 機会を得た。 今回行った「体軸体操」とは、身体全体のバランスを整え、子供の運動神経の発達の土台となる 正しい身体の使い方を身につけていける、予防医学に基づいて構築された全17項目の体操プログラムであ る。5年生100名を対象に、体操指導を行い、その前後で「長座体前屈」「反復横跳び」(東京都の体力テスト 項目)の項目についてどのような変化があったか、体軸体操を行った子供たち感想と合わせて報告する。

【3-3】生後10カ月間の体重増加の学童期肥満へのトラッキング
*尾崎 貴視1、濱野 弘一2、福岡 秀興2,3
1. 三豊・観音寺市医師会、2. 早稲田大学ナノライフ創新研究機構、3. 福島県立医科大学周産期間葉系幹細胞研究講座

 【目的】生後早期の急激な体重増加は将来の肥満リスクであることが知られており、その時期の体重増加へ の介入こそが先制医療である。日常臨床で介入可能なcritical periodを検討した。【対象・方 法】2013年~2018年に、小児生活習慣病予防健診を受診した西讃医療圏の全公立小学校4年生(以下、児 童)の満期産児4,856名に対し周生期歴を含めてアンケート調査した。得られた因子を説明変数とし、児童 BMIを目的変数として、多変量解析を行った。(香医2016-1)【結果】出生体重、生後10カ月間(以 下、10M)の体重増加、妊娠前のBMIに加えライフスタイルが児童のBMIに影響を与えていた。特に生後6カ 月、1年半、3年での体重増加量ではなく、10Mでの体重が1kg増加することで児童のBMIが0.46増加していた ことが判った。【考察】将来の肥満にトラッキングする体重増加時期は10Mにあることが明らかとなった。こ れは従来の想定より早く、10カ月健診は、先制医療の重要な介入時期であることが判明した。

【3-4】当院における多職種による小児肥満診療のとりくみ
*林 麻子1
1. 北海道医療大学病院 小児科

 当院では肥満度20%以上の肥満を主訴に来院した小児に対して小児科医だけではなく、看護師、理学療法 士、管理栄養士、公認心理師など多職種で診療に取り組んでいる。当科の小児肥満外来の現状と課題について 報告する。 対象は2021年4月から2023年4月までに受診した28例。初診時年齢中央値は10歳、男女比は 7:3、初診時肥満度は46%で6歳以上の症例では全例で小児メタボリックシンドロームの診断基準を満たして いた。全例が当科の多職種による診療を定期的に受診した。6か月以上または、診療終了(肥満度20%以 下)まで観察し得た13例において肥満度は48%から32%へ、HOMA-IRは1.9%から1.4%(各数値は中央 値)と改善し、当外来の一定の効果を認めた。一方、通院中断例は当院からの距離が遠い、肥満の家族歴を有 するなどの特徴があり、今後の課題であると考えられた。

【3-5】著明な肥満改善率を得た公立全寮制特別支援学校の取り組み
*岩間 真弓1、伊東 宏明1
1. 亀田総合病院 小児科

 背景:子供たちを取り巻く多様な環境において、生活習慣の改善が困難なことが肥満診療の課題である。目 的:南房総地域には東京都の特定の区が運営する健康増進を目的とした全寮制特別支援学校が3施設あり、利 用している児童の著明な肥満改善が認められている。集団生活において有効的な介入ができている実績は肥満 診療に役立つと考えられる。方法:2017年から2022年まで5年間で板橋区立天津わかしお学校を利用した 20%以上の肥満度だった児童44名を対象に、毎月の健診データから肥満度改善率を求めた。歩数計を使用した 運動量、食事内容などの調査も同時に実施した。結果:入寮時、肥満度20%以上の児童44名のうち平均肥満度 改善率は38%で、20人が20%以下まで改善認めた。肥満度改善率の平均は38%だった。考察:健康的な食 事、運動生活を送ることにより短期間で肥満を改善することが明らかとなった。結語:肥満改善には、整った 食事、運動、睡眠の生活を経験させることは有用な方法であり、学校や地域と協力してそのような場の提供を 進めていくことは有用だろう。

【3-6】コドモノいっぽクリニックにおける3・4ヶ月健診への取り組み
*舘 美紀1、丸山 友紀1、松本 沙織1、小野塚 亜也香1、宮塚 幸子1、本田 真美2、弦間 友美1、石田 彩1
1. 医療法人社団のびた コドモノいっぽクリニック、2. 医療法人社団のびた みくりキッズくりにっく

 A市の3・4ヶ月健診は、2020年4月緊急事態宣言を期に集団健診から個別健診で実施となった。市の指定医 療機関として当院の行った、3・4ヶ月健診の方法の推移と実績について報告する。 目的:当院で実施した 3・4ヶ月健診について振り返ることにより、院内の多職種連携および、狛江市の保健当局との連携について明 らかにする。 方法:2020年4月より、2022年3月の3・4ヶ月健診の件数と、A市保健事業実績概要における数 値の比較、3・4ヶ月健診における相談件数の比較を行った。 結果:健診者数は、市の健診者全体のR2年度は 26.9%、R3年度は32.2%であった。助産師相談・栄養相談の相談件数も多数提供できていた。 考察・結 語:3・4ヶ月健診における保護者は、子ども発育状態や育児への不安から、多くの情報サポートを求めてお り、それをワンストップで提供することが求められる。今後は家族の相談内容と市当局の当院への健診に対す る要求を踏まえて3・4ヶ月健診の体制を整えて行くことが重要と考える。