セッション


8月25日(土)午前

【1】小児医療現場での子どもの貧困

2009年子どもの貧困率は15.7%になりました。私たちが日々接している子どもたちの6〜7人に一人が貧困問題を背景に持っていることになります。教育・保育・福祉などの分野からは、子どもの貧困事例が数多く報告されていますが、小児医療分野からは非常に少ないのが現状です。つまり私たちは多くの子どもが貧困問題を抱えていることを見落としているということになります。医療現場では子どもの貧困は見えにくいと言われます。では、どうしたらそれが見えるようになるでしょうか。今回は、小児科医が実際に経験した貧困事例を提示することを中心に、小児医療の現場で、どう子どもの貧困に気づき、支援につなげていくかを考えたいと思います。

【2】発達障害をめぐって

発達障害はいまや医学だけではなく教育や一般社会でも話題となっていますが、適切な診断が得られていないことも多く、となれば適切な対応についてもまだまだ十分とはいえません。今回は発達障害の中でも代表である自閉症(平岩)、ADHD(東京医科大学 宮島祐)、ディスレクシア(鳥取大学 小枝達也)についてそれぞれの専門の立場から解説していただくとともに、発達障害を抱える子どもの保護者からも報告を予定しています。また講演だけではなく、討論の時間をとり、会場からの活発な質疑応答も期待しています。

8月25日(土)午後

【3】これからの予防接種

ここ数年の新規ワクチン認可ラッシュで接種できるワクチン種類のギャップはほぼ解消されました。しかし、せっかく手に入れたワクチンを宝の持ち腐れにしてはいけません。今後はそれを子ども達に有効に接種してもらうか。どう啓発していくか、小児科の力量が問われるところでしょう。
1)接種開始時期の啓発方法:ワクチンデビューは生後2か月で
2)接種方法:同時接種についての正しい知識
3)せっかく接種するなら発症を予防できる方法で:水痘、ムンプスワクチンの2回接種の勧め
4)ワクチンの効果を正しく認識する:B型肝炎ワクチンはがん予防ワクチン。
ユニバーサルワクチネーションの理由 について勉強してみませんか。

【4】児童館から子どもの育ちを考える

診察室で社会性、想像力、コミュニケーション能力に乏しい、まるで広汎性発達障害のような子ども見かけることはありませんか?。彼等の育ちに一体何が足りないのでしょう?私たち小児医療従事者の責務は、もはや診療室にやってくる子どもの病気を治すことだけでなく、彼らの心身の成長を見守る伴走者としての役割を付託されています。子ども達が社会的生物である「ヒト」になるために必要な過程を、「育ち」「遊び」「居場所」をキーワードに、まずはみなさんの身近にある「児童館」からスタートし、その後児童館以上に子ども達とがっちりと向き合う場である「フリースクール」「プレーパーク」の、各分野のスペシャリストのお話をうかがいながら探ります。

【5】「ここまで出来る」ワクチンを題材に外来小児科における研究を考える

リサーチという言葉からイメージするのは大学などでの実験研究であり、小児科外来からは遠くかけ離れていると敬遠しがちです。しかし、もう一つの主流は臨床研究であり、題材は私たちのフィールドにたくさんあります。普段の臨床で疑問に思うこと、気づいたことをどのように研究に結びつけるかのヒントをこのセッションでみつけませんか? ワクチンという題材を切り口にして、量的研究と質的研究の手法を具体的に紹介します。 講演は2題、質的研究の一つの技法であるフォーカスグループインタビューから「話を聞く技術を学ぶ」、難解だと敬遠されがちだけれど、知れば知るほど目からうろこの「疫学の基礎を楽しく学ぶ」です。

【6】学校医してますか?

あなたは学校医をしていますか。学校医の仕事は、年に1回か2回健康診断に行くだけではありません。法律ではたくさんのことが規定されて、学校医の仕事とされています。全てを網羅するのはとても大変ですが、学校の子ども達の健康を見守っている多くの養護教諭たちは孤軍奮闘しています。医療の専門家である学校医は、養護教諭と協働することでいろんな活躍をすることができます。日本中にいろいろな活躍をしている学校医がいます。堅く考えないで、学校に足を運び、養護教諭と一緒に子ども達のことを考えると面白いこと楽しいことがあります。診察室の子ども達にも目を向けていきましょう。さあ、診察室から出て、いざ保健室へ。

【特別】知りたい!聞きたい!マッチング&入局のホンネ〜若手小児科医に聞こう!!〜

今年のこどもどこは例年好評の子どもを上手に診る5つのコツはもちろんのこと、マッチングや入局に関する座談会を予定しております。大学で初期研修された方、市中病院で初期研修された方、その後大学小児科に入局した方、市中病院で後期研修を行っている方など様々な形で小児医療に携わっている若手小児科医(こどもこどOB.OG)に演者をお願いし、医学生にとって直近の悩みである、マッチング、初期研修医にとっての悩みである入局について楽しく座談会を行いたいと思っております。

8月26日(日)午前

【7】病棟から子ども達を地域へ−子どもと家族が寄り添えるように−

病院や施設に入院・入所している子ども達が在宅生活を送れるようになるためには、地域の在宅医療の整備が不可欠です。私たちが、その在宅医療の一翼を担うためには必要な情報を得るためワークショップ(WS)を開催しました。第20回日本外来小児科学会年次集会(2010) WSでは「地域の障がい児を知ろう」、第21回年次集会(2011)WSは在宅にかかわる小児科医の役割を区分して検討しました。今回のセッションでは、継続的に在宅医療に取り組むのに必要な情報を関連する職種の皆様と共有することを目的に開催します。

【8】明日からの診療に役立つナースカンファレンス

小児科のクリニックには、急性・慢性疾患、外傷、健診、予防接種、育児相談など多岐にわたる理由で、様々な年齢層が保護者と共に受診します。また近年では、核家族化、育児能力の低下から「医療機関が唯一の相談できる場」になり、小児救急の現場でさえも「コンビニ化」による医療者側の疲弊も問題となっています。
 そこでこのカンファレンスでは、国立成育医療センター小児救急認定看護師 林幸子さん、つばきこどもクリニック(千葉市)宮島環さんと共にそれぞれの医療現場での問題点、解決法や工夫などを具体的な事例を紹介しながら、私たち外来小児科看護師が専門職として「地域において何が出来て、何をすべきなのか」を皆さんと一緒に考えたいと思います。看護師の皆さんの積極的な参加、発言をお待ちしています。 
事務局からのひとこと
日頃から熱心に外来小児科看護に取り組んでいる看護師たちが企画しました。ぜひ、ここで勉強した事を胸に明日からの仕事に繋げて行きましょう。